新年明けましておめでとうございます。
教祖140年祭も最後の年となりましたが、それぞれにご活躍のことと存じます。
昨年は正月早々、能登半島で大地震が発生し、追い打ちをかける様に豪雨被害が能登地方他各地でみられました。140年祭のホップ、ステップ、ジャンプのステップの段階での惨事に、神意を測りかねるような辛い出来事ではありました。
日本の雅楽や能楽の世界では「序破急」と言う言葉があります。「序」はゆったりした単調な調べで始まり、次に「破」で拍子が加わり躍動的になり「急」で加速し収束すると言う3部形式の楽曲構成のことです。昨年の天災がその「破」に当たるとすれば、その重みを受け止めながら「急」の本年を、勢いを持って見事に勤めを完結させなければならないのかも知れません。
さて昨年は天災はありましたが、明るい話題がなかったわけではありません。パリオリンピックが開催され、日本人選手は20種目で金メダルを獲得しました。しかし、それ以上に日本中を沸かせたのが、大リーグの大谷選手の活躍でしょう。本塁打王と打点王に輝いただけでなく、59個もの盗塁をし、50-50という数字がトレンドになるほど、連日、テレビやネットで熱く報じられて来ました。
ほとんどの日本人が、彼の活躍を我が事のように喜び誇らしく感じたと思います。実力だけでなく人間性も申し分なく、正に神の寵児とも言える存在ですが、ただ同邦と言うだけで身内の様に感じてしまうのは、考えれば身勝手な気もします。同じ日本人でも、成績が散々で性悪だったりすると全く他人扱いですからね。
本教では一列兄弟と教えられますが、古来、兄弟は他人の始まりとも言われ、また兄弟間の仲たがいはよく見られることです。それ故「兄弟仲良く」という言葉が同時にスローガンにされているのでしょう。
出来の良い者、出来の悪い者、あるいは気の合う者、会わない者も同じ仲間とみなし、愛情を持って等しく接していくのは中々難しいことのようです。

このコラムは、毎月発行の天理教宮和分教会月報「宮和だより」からの抜粋です。
掲載文:2025年1月1日発行「宮和だより」から
執筆者:二宮哲英