『バタフライ・エフェクト』

NHKで、近代に起きた大戦や大変革のきっかけとその発展の様を特集した「映像の世紀 バタフライ・エフェクト」という番組がありました。

バタフライ・エフェクト(蝶の効果)という言葉は、ローレンツという気象学者の
「蝶が羽ばたく程度の非常に小さな攪乱でも、遠くの場所の気象に影響を与え得るか」
という問いかけに由来するものだそうですが、それが転じて
「非常に小さな出来事が、最終的に予想もしなかったような大きな出来事につながる」
ことの象徴として語られているようです。

環境活動家として世界的に有名なスウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんも、16歳の高校生の時に気候変動に対して危機感を持ち、適切に対処しようとしない大人社会に対して「変化をもたらすために未熟すぎることはない」と題した抗議スピーチ集を出版したことが活動の始まりでした。彼女の活動が、その後世界を脱炭素化へと大きく舵を切らせることに繋がったのはよく知られている事ですが、正しくバタフライ・エフェクトですね。

さて、アメリカではトランプ氏が大統領に再選されました。彼は当初よりアメリカファーストをかかげ、世界の警察と言う地位をかなぐり捨て、自国の利益の為には小さな国を犠牲にすることも辞さないような政策を取ろうとしているように見えます。

温暖化対策もしかり。パリ協定からも離脱し、国際社会と協調しようとせず、「掘れ、掘れ、掘れ」を掛け声に、国内の化石燃料を今以上に掘削し消費する政策を実行しようとしています。まさに「我さえ良くば、今さえ良くば」に思える政策が世界をどう変えていくのか分りませんが、先行きが案じられます。

この世を救う為に創められた本教も、残念ながら、世界的にはまだまだ確かな影響力を持つには至ってないように思われます。

今こそようぼく一人一人が、蝶が懸命に羽ばたきをするように教えを伝え、バタフライ・エフェクトを起こしていくべき旬なのかも知れません。

このコラムは、毎月発行の天理教宮和分教会月報「宮和だより」からの抜粋です。
掲載文:2025年3月1日発行「宮和だより」から
執筆者:二宮哲英

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