以前、「いきいき通信」の巻頭コラムで、茶木谷吉信氏が『真の賢さは謙虚である事』という主旨の内容を綴っていました。
今、米大リーグで大活躍の大谷選手について、レジェンドと言われる元メジャー選手が、大谷はパワーも技術も並外れているが、一番素晴らしいのは「謙虚さ」だ、。れは誰にもマネ出来ないことだと語っていました。それが大谷選手が誰からも愛される理由であり、同時に彼の賢さでもあるのでしょう。
私の元の部下で有名私大卒でしたが、職場を転々と変える男が居ました。
トラックの運転手を募集した際、他社を退職して雇って欲しいとやって来たので、経歴を見て事務職を勧めたのですが、現場がいいとの本人の強い希望でトラックの運転手になりました。弊社在籍中に重機関係の資格を色々取ってもらうと、それにハマったのか、大型2種から特殊作業車などの資格をほとんど取得し、果ては通関士、宅建、土地家屋調査士等、合計80もの資格を全て一発で取ったほど大変優秀だったのですが、生来の短気な性分と自己主張の強さから、常に誰かと衝突し、職場に居れなくなっていったのです。それでも弊社には一番長く、7~8年在籍していたのですが、その他の会社は1~3年のうちに辞めていました。
退職後も、彼は私にはよく連絡をくれたので、もっと大らかな気持ちになるようにとアドバイスしたりしたのですが、中々なおらないようでした。
残念ながら、これは決して賢い生き方とは言えないでしょうね。
歌人 俵万智さんの「言葉の力は生きる力」という本の中に、ある自閉症の男の子の発した言葉を、その母親がSNSで紹介した内容について書かれていました。
宿題をしながら「僕は賢くなる」と言い続ける彼に「賢い人ってどういう人の事を言うのか知ってるの?」と聞くと、彼はたどたどしく、けれどしっかりと
「笑顔である事、幸せである事、正直である事、誇りを持つ事」
と答えたと言います。
その母親のツイートが反響を呼び、それを目にした万智さんが、特に感心したのは、彼のあげた項目が、人からどう思われるかとかの世間のものさしではなく、 自分のものさしを持っていることだと語っていました。
教祖の「阿呆になれ」とのお言葉も、世間的なものさしでは阿呆にみえても、神様のものさしでは賢い生き方なのだと教えられているように思えるのです。

このコラムは、毎月発行の天理教宮和分教会月報「宮和だより」からの抜粋です。
掲載文:2025年11月1日発行「宮和だより」から
執筆者:二宮哲英
