布教所という看板は出していないものの、昔、しめ縄にタレ紙をつけたものを玄関につるしていた我が家に、月末に新聞代を集金に20歳位のお兄さんが来た。
そのしめ縄を見上げて
「あれッ?これって神さん?」
と聞いてきたので
「そうよ!」
と言うと、新聞代を集金袋に収めた後、自分のズボンのポケットから小銭を一掴みして
「これお供え!」
と差し出してくれた。
「う~ん…お兄さん、これを見て神さん?と言ったのは、何か思い当たることがあるの?」
とたずねてみると
「僕、天理高校中退なんです。天理教はおばあちゃんが信仰していて、天理高校に入学したんですが、最終的に辞めてしまったんです。そのおばあちゃんも今は亡くなって、両親は違う信仰をしてるんですが。」
と。
「あぁ、亡きおばあちゃんはきっとお兄さんのこと心配してるんだわ…。わかった!これから賽銭箱を外に出しとくわ!ここを通るとき入れやすいようにね!」
と私が言うと
「いやぁ~」
と頭をかいて帰って行った。
その後もこのお兄さんが集金に来る時は、ポケットの小銭を置いていってくれたり、家の小さい子らにもお菓子をくれたりした。
このお兄さんが幸せになりますようにと祈ったことであった。
この記事を書いたのは…
- 名前:甲斐繁子(かいしげこ)
- 教会:百萬分教会(宮﨑部属)
- 立場:教人
- 所在:大阪市東住吉区
- 猛暑とコロナに閉じ込められ自由を失った老人の日課は、ごみや吸い殻、缶拾いと草むしり。認知症の予防にもなると大教会からのオファーに応え、これまでの日々のあれこれを振り返ってみることにしました。
- 文章に添えられたイラストも甲斐さんの手によるもの